子供が6年間通った学校もあと残り1ヶ月で卒業となりました。親として6年間学校にしっかりとかかわり、自分に出来ることは出来たので充実した6年間になったと思います。
その一方で、親の立場から見てきた子供の成長とその変化について特徴があるなと痛感しています。そして、その変化によるクラスでのいじめ問題にも年齢によって特徴があることがわかりました。
子供の成長というのは個人差はありますが、その年齢で出来る能力というのは決まっているんだなと実感しています。それがよい方向に向けばいいのですが、負の方向で活用されたときに結果としていじめにつながることがあるのです。
そして、「悪い結果」が出てから対応するのでは対応しきれないと言うこともわかりました。悪い方向に向かって根が土の中で育ち、実際芽が出て表立ってその結果が出てくるまでにタイムラグがあります。問題が表れる高学年で対応しようと思ってもなかなか改善することは出来ません。低学年のうちからその学年で気をつけなければいけないことがあります。
親の視線から感じた子供の成長といじめへつながる構図を忘れないうちにまとめてみたいと思います。
小学低学年の問題行動への発展パターン
小学校1年生で入学したばかりでは学校生活について真っ白の状態で入ってきます。ですので、基本的に先生が話すことはストレートに入っていきます。
たとえば先生が「xxxxxはだめなことだからやってはいけません。」と言われたとき子供はこの言葉の意味をそのまま吸収します。吸収した結果大部分の子供はやってはいけないんだと認識します。ただ、認識した後の行動は、
1、言われたことを忘れてしまってまた繰り返す。
2、しっかり記憶してやらないように気をつける
3、知ってはいるけど先生に見つからなければ影でやってもいいと考える。
4、そもそも言われたことを認識していない(話を聞いていない、聞いているけれど右から左に受け流している)
この4つに分類されているようです。
「2、しっかり記憶してやらないように気をつける」
こういう子供はすでに幼稚園で学習してきている子供です。素直に聞いて素直に実行、小学校でぐんぐん伸びていくタイプです。
「1、言われたことを忘れてしまってまた繰り返す。」
たいていの小学1年生はこれにあたるのではないでしょうか?なので、低学年の先生は子供が言われたことを定着するまで何度も同じことを繰り返し説明してくれています。
「4、そもそも言われたことを認識していない(話を聞いていない、聞いているけれど右から左に受け流している)」
この傾向は男子に多いようですが、女子でも見受けられました。男の子は成長が女の子に比べて遅いので、そもそも人の話をボーっとしていて聞いていない子が結構います。人の話が聞けるようになるにはやはり先生や親の子供への繰り返しの働きかけが重要となってきます。
そして問題なのが、
「3、知ってはいるけど先生に見つからなければ影でやってもいい。」
こちらです。クラスには30-40人の子供がいるので先生も全部が全部目を光らせていられません。なのでどうしても先生はトラブルが発覚してから、話を聞いて対応するしかありません。
たとえば、A君(影でやるタイプ)とB君がケンカをしたとします。先生がその状況を最初から見ていなかった場合は、二人を呼び出して状況を聞きます。
B君が泣いて先生に「A君に殴られた」と言います。
A君は先生に「だってB君が先にぶつかってきたんだもん」
と言います。
そうすると先生は、A君に対して「殴るのは痛いでしょ。人を殴ってはいけません。B君に謝って二度とやるのをやめましょう。」と言います。
一方同じく先生は、B君に対して「ぶつかったらわざとでなくても痛いでしょ。謝りましょう。」と言います。
なので、この場合A君もB君も両方注意されて終わります。さてトラブルがたいしたことない場合には学校で片付きますが、もう少し大きいトラブルの場合は先生が家に電話することがあります。
その場合、先生は事実のままを保護者に説明することになります。その電話を受けて親は子供に実際の状況を再度聞き取ると思います。
A君はほとんど自分が悪くないような言い方で親に説明します(でも嘘はついていない)。「B君が先にぶつかってきて謝らなかった。あっちが悪いんだ。」と言う感じです。親も先生とほとんど同じ対応をするか、または「B君って嫌な子なのね。」で片付けてしまいます。
一見正しそうなこの対応ですが、実はさらに裏があります。
それが表面化してくるのが小学3年生です。上記の対応を繰り返すうちに子供は言い訳の方法を学習していくのです。
3年生くらい、今回もA君(影でやるタイプ)とB君がケンカをして先生がその状況を最初から見ていないので二人を呼び出して状況を聞きます。
B君が先生に「A君に殴られた」と言います。
A君は先生に「だってB君が先にぶつかってきたんだもん」といいます
B君が先生に「僕はA君にぶつかっていない。」と言います。
A君は先生に「昼休み階段を降りるときにB君がぶつかってきた」
と言います。そうすると、B君もあのたくさんの人ごみの中で、ぶつかっていないとは思うものの、A君にぶつかった可能性ははっきりと否定できません。
公立の学校の先生はなんとなく「A君の言っていること本当なのかな?」と思っても現場を見ていたわけではないので疑うことは出来ません。この年齢になると、ばれなければ嘘をついても平気と学習してきています。
結果A君が嘘をついていると先生も決め付けられないので、やっぱり対応としては、両方の子供に対して「お互いに謝りましょう。」になります。この構図が4年生の初め頃まで続きます。
問題行動を起こす子供は学年で数人います。私は学校によく行くので、何人も子供を見ていく中で、嘘をついているなとわかるようになりました。
たとえば、私がA君がうそをついていると確証を持ったのは、A君とうちの子供が同じ習い事に通っていたこともあります。
遠目から明らかに何もしていない(またはただ話していただけ?)の子供を蹴飛ばしたり、たたいたりしているのを目撃していて、その後どうなるかなと思って黙って見ていました。親が迎えに来たときに先生があった出来事をA君の親に説明していました。先生がいなくなった後、A君が「B君が僕のこと先にたたいてきたからたたき返した」と言い訳していました。
これに対して親は「相手がたたいてきてもやり返したらだめ。我慢しなさい。」と注意したのです。
相手のB君は何もやってきていません。明らかにA君はうそをついてます。それについて追求することなくA君のお母さんは彼のうそを鵜呑みにした上でA君を注意しています。A君は同じ注意されるにしても、相手が先にやってきたからやり返したといった方があまり怒られなくてもすむということを学習しているのです。むしろ相手のこの方が悪くも取れます。
面白いことにこの構図はこの子1人だけではなく、手や足が出る子のほとんどが同じような言い訳を考えて、いかに自分は悪くないアピールをして、改善することなく同じ行動を繰り返していきます。上の子供の教室で見た光景が下の子供の教室でもまったく同じパターンで繰り広げられているのを見てそう思いました。
でもこの単純な構造は小学校3年生までです。4年生になると知恵もつきもう少し悪質かつ複雑になっていきます。これからどんどん表面化していくことになります。
低学年の子供のトラブル時の対応
上記の対応は一見いいように見えますが、子供が意図的に先生が見ていないところを狙ってやっている場合は、いかにばれずに怒られずにすむかという方向に頭を働かせて、「これは悪いことだからやってはいけないんだ」という結論には至らないのです。
一番いいのは親がトラブルがあったと聞いたときに、しっかりそのときの状況のヒアリングをすることだと思います。 しっかりというのは文字通り”しっかり”聞きます。
NGのヒアリング
親「今日先生から電話でB君がxxにたたかれたって聞いたけど本当にやったの?」
子「違うよB君の方が先にたたいてきたから僕がやり返したんだよ。」
親「B君から先に手を出したのね。でもxxもやり返したらいけないのよ」
これだと、どちらかというと、より悪いのはB君と受け取れます。あいまいな質問には子供は自由に答えられてしまいます。
なのでもう少し詳細に話を聞く必要があります。
OKのヒアリング
親「今日先生から電話でB君がxxにたたかれたって聞いたけどたたいた経緯を一番最初から説明して。」
子「最初B君がたたいてきたから僕がやり返したんだよ。」
親「最初B君がたたいてきたのは、どうやってたたいてきたの?」
子「・・・・B君の手が僕の足にぶつかったんだ。」
親「どうやって?実際にやって見せて?」
子「・・こんな感じ」
ここまでしっかり聞くと、実は子供がたたかれたといっていた言い訳は、実際にはただ触れただけだった。など、より詳細に内容を知ることが出来ます。
そうするとそれに対して本当にたたき返す必要があったかどうかということを子供と話し合うことが出来ます。そして、同じ質問をもう一回少し目線を変えてします。そうするとなんとなく過剰に答えていたり、嘘を答えていたりすると、言っていることが矛盾してくるので事実なのか大げさなのか嘘なのかわかります。 このヒアリングをすることのメリットは、嘘をつくとばれる、過剰評価するとばれる、などを学習させることです。
なので、子供は言い訳が出来なくなり、結果として意図的に悪さをしなくなります。
もし親ではなく学校の先生であれば、1学期始まって最初のトラブルでしっかりしたヒアリングをおすすめします。しっかり最初にヒアリングをしてトラブルを解決した先生のクラスはは3学期の終わりには、いいクラスで終われていました。
でも、きっちりヒアリングをすることは確かに時間がかかるので授業時間をつぶすことにもなります。ただそれでも、最初にやるとその後続いてそういうトラブルはおきにくくなります。逆に最初適当な対応をすると、その後どんどんエスカレートしてもっと解決に時間をとられることとなります。 家庭でも、もし学校でトラブルがあったとしたら、しっかりと子供の話しをヒアリングするようにします。学校と家庭両方からのアプローチが一番効果があると思います。
正直学校の先生が取れる対応は限られています。というのも先生は子供のことを嘘をついていると決め付けたり、一方の子供が悪いと指摘することも難しいからです。現場を見ていたのであれば、その指摘も出来ますが、たいていトラブルが起こるのは先生が見ていないところになります(仕掛ける子供は先生がいないところを狙ってきます)。なので、少し目線を変えた方向での質問は高度な国語のテクニックが必要となりますが、低学年ですとなかなかとっさに対応しづらいものとなります。
低学年でしっかりと悪さをするための逃げ道をふさぐ。これが大切だと思います。
次は高学年のいじめとその対応に移っていきます。